About 日本ワインとは

日本ワインってなんですか?

「日本ワイン」とはなんでしょうか?「日本ワイン」とは、日本のぶどうのみを原料とし、日本で醸造したワインを意味します。日本の造り手たちが、自分たちの国のぶどうの可能性を信じ、丹精込めて造ったワイン、それが日本ワインなのです。

この定義は、国税庁が2015年に定めた「表示ルール」に基づくものです。すべての「日本ワイン」は、ラベル上に「日本ワイン」と記すことが必要です。ラベルのどこかに「日本ワイン」と記されていなければ、そのワインには日本のぶどう以外の輸入果汁や輸入したワインが原料に使われていることになります。 この制度をきっかけに、「日本ワイン」はさらに注目されるようになりました。

ワインの表示ルールに関する資料(PDF/172KB)

日本ワインはおいしくなったの?

「日本ワイン」が注目されるようになったのは、何と言っても日本ワインが驚くほどおいしくなったから。
それにはいくつも理由があります。

1 ブドウの品質の向上

ひとつは、ワインの原料であるブドウの品質が向上したからです。「ワイン造りはブドウづくり」という言葉があるように、ワインの味わいや品質はブドウで決まると言われます。海外の有名なワイン産地のように、そのブドウの品質を少しでも向上させようと、造り手みずからがブドウ栽培に乗り出すケースが増えています。国税庁の「国内製造ワインの概況」(2018年度調査)によると、自社管理農園産のブドウを原料としたワイン造りを主体にしているワイナリーは76軒。その前年に比べると12軒増えています。こうしたワイナリーは、年間生産量が1.3万本以下の小規模ワイナリーが大半でしたが、近年は、大規模ワイナリーにも自社管理農園の拡大、開園に力をいれています。

また、ワイナリーと契約農家さんの距離がぐっと近づいたこともブドウの品質の向上につながっています。

2 醸造施設の刷新

醸造施設の刷新も続いています。小型で温度コントロールが可能な発酵タンク、果樹やワインへの負担を小さくするポンプや傾斜式コンベア、そして良質なブドウのみを選ぶ機械など、最新の機械を多くのワイナリーが使うようになりました。

いくつか例をあげてみましょう。小型の温度コントロールが出来るタンクがあると、いままで熟度が異なるブドウをまとめて収穫していたのが、造り手が熟していると判断したブドウのみを収穫することも可能になります。ブドウの特徴に応じた、より小さな区画ごとの収穫もできるようになります。

またワイナリーのなかには、ポンプを使わずに重力を使うことで、ブドウ果汁の移動させる「グラヴィティ・フロー」という構造を取り入れているところもあるのです。

3 造り手の変化

変化は畑や醸造所のなかだけではありません。

フランス、オーストラリア、ニュージランドなど、海外の大学で学んだ人、海外のワイナリーで修業を積んだ人たちも増えてきました。また少しずつですが、日本国内でもワイン造りを学ぶ場も生まれてきました。なかには、少しでも経験値をあげようと、北半球と南半球をいったりきたりしながら、仕込みを経験する、ジャパニーズ・フライング・ワインメーカーも出てきました。

原料となるブドウも、そのブドウからワインを造る施設も、そして、ワインを造る人も変わってきているのです。もちろん、今後も持続的に日本ワインが発展していくには、まだまだ解決すべき課題は数多くあります。それでもこうしたワイン造りの現場の進歩によって、日本ワインは劇的においしくなっているのです。またこの発展も今までワイン造りの礎を築いてきた先人たちの努力があったからです。

また日本人は、きめ細やかな作業が得意です。こうした日本人ならではのきめ細かい仕事ぶりが畑やワイナリーでも見受けられるようになっています。

日本ワインはどのくらい造られているのでしょうか?

日本ワインは、1年間にどのくらい造られているのでしょうか?国税庁は、2017年、初めて「国内製造ワインの概況」で、日本ワインの生産量を発表しました。もっとも新しいデータは2019年に発表された2018年の調査分(国内製造ワインの概況)。それによると日本ワインの生産量は、年間16,612キロリットル。750mlのワイン1本分に換算してみると、1年間に約2200万本のワインが日本で生産されていることになります。

この生産量を、ワイン生産量 世界第1位と第2位のイタリアとフランスの2018年に生産された量と比較してみましょう※1。イタリアが年間で約73億万本、フランスが約66億万本。前者が日本の約330倍、後者が約300倍になります。世界の水準からみると、日本ワインの生産量はまだまだ少ないのが実情です。

日本ワインはどこで造られているのでしょうか?

ワイン造りは全国へと広がりを見せており、今では北は北海道から南は沖縄までワインが造られるようになりました。ワイナリーがある北限の地は北海道の名寄市、そして南限の地は沖縄の名護市です。ワイナリーの数は2015年頃※2から、増加のスピードに拍車がかかり、2020年末の時点で日本国内のワイナリーの数は約400軒にも達しています。

ワイナリー設立が活発なのは長野県と北海道で、ワイナリーの数は、同2020年末で長野県は64軒※3、北海道は47軒※4にもなっています。そして、山梨県は約90軒を数えています※5

ちなみに47都道府県中、ワイナリーがないのは、奈良県と佐賀県のみ。奈良県では、すでにワイナリー設立を視野にブドウを育てている生産者が存在します。全都道府県でワインが造られるようになるのもそう遠くないことかもしれません。

※国税庁では、生ブドウではなく、ブドウの濃縮果汁を原料の一部に用いてワインを醸造している醸造所もワイナリーとしてカウントしています。また、酒蔵マップ「日本ワイン産地マップ」を作成し、誰もがダウンロードできるようにしています。

最近では、日本酒の酒蔵や、シードルのみ生産していたシードルリーが、ワインを造り出すケースも見られます。

日本ワインの生産量が多い都道府県はどこでしょうか?

日本ワインの生産量がもっとも多いのが山梨県、次いで、長野県、北海道が続きます。2018年の年間生産量は、山梨県が5189キロリットル、長野県が3950キロリットル、北海道が2603キロリットルになります。これを750mlのワイン1本分に換算してみると、山梨県が約690万本、長野県が約530万本、北海道が約350万本。この3道県で日本全体の約8割を占めています。

この年の日本ワイン生産量の上位10道県は以下の順番になっています。
山梨県>長野県>北海道>山形県>岩手県>岡山県>新潟県>宮崎県>島根県>栃木県
上位3道県の生産量の順番には、いままで変化はありませんでしたが、5位以下には入れ替わりが見られます。

*1:出典は世界ぶどう・ワイン機構
*2:2015年に、国税庁は、果実酒等の製法品質表示規準を策定
*3:長野県日本酒ワイン振興室調べ。
*4:出典は「GI HOKKAIDO ホームページ」(地理的表示「北海道」使用管理委員会が運営)。
*5:山梨県ワイン酒造組合調べ。
鹿取みゆき

一般社団法人日本ワインブドウ栽培協会代表理事。フード&ワインジャーナリスト。日本全国のワイン、農産物など食の生産現場の取材を続けながら、生産者支援にも注力し、日本各地での講演も多い。専門誌、一般誌、全国農業新聞など、様々な媒体に寄稿。現場の造り手たちのための勉強会、地域ブランドの構築のプロジェクトなども手がける。
『日本ワインガイド 純国産ワイナリーと造り手』など著書多数。国税庁審議会委員、信州大学特任教授、総務省認定地域力創造アドバイザー、日本ワイン造り手の会監査役も務める。